私は新卒から11年間働いた役所を辞めました。
コロナ渦で。スキルなしで、子供がいて。
何かあったのか心配されるのが普通です。
でも至って真面目に決断した結果です。
さて、皆さんは公務員と聞くと、どんなイメージを持っていますか?
おそらくは、こう思っているはず。
「仕事は楽そうだし、コロナ渦でも安定して給料がもらえるから、今の時代においしい仕事。」
新卒から11年間働いた私が公務員の現実を教えます。
目次
公務員は安定してるよね、とよく言われます。
ここでいう「安定」とは、景気に左右されにくく給料が安定してもらえることを指します。
でも仕事において「安定」とは、それだけなのでしょうか。
確かに公務員の給料は安定ですが、それに反して「心」の安定はありません。
いわゆる対人ストレスやモチベーションの低下です。
転勤がなく、終身雇用・年功序列により、年が経っても周囲の人は代わり映えしません。
嫌な上司とも離れることができません。辛い人間関係が続きます。
また、法律に縛られた事務仕事は無駄なものやアナログなものが多く、効率化したくてもできません。
データ管理や電子書籍が当たり前の時代に紙決裁や資料配布をします。
ZOOMやチャットが当たり前の時代に郵便やFAXを積極的に使います。
技術革新の時代に目の前の非効率な業務に向き合うことは、つまらないを超えて苦痛です。
はっきり言います。終身雇用・年功序列は人類にとって毒です。
社会全体がその崩壊の方向に向かっておりますが、公務員はまだまだ安心です。
行政事務のほとんどが特別なスキルを必要としません。
自己啓発で勉強としても、仕事に活かされなければモチベーションなどありません。
仮に仕事で活かせたとしても給料には反映されません。
隣にいる上司や先輩が自分よりも無能なくせに自分の倍近い給料をもらっていることは普通です。
そんな状況が耐え難くても公務員を続ける人はたくさんいます。
では彼らが公務員を辞めない理由は何でしょうか。
〈公務員を辞めない理由〉
・元々使命感やボランティア精神が強い。
・経験年数が少なく現状に満足している。
・向上心が低く情報弱者である。
・成功体験がなく臆病で行動に移せない。
・辛い状況が続きメンタルが崩壊している。
・無能な側の職員である。
・不動産投資などでFIREを狙っている。 など
心を殺して長期間耐えた者だけが、老後に潤沢な退職金という果実を手にするのです。
こんな場所で果たして日々前向きに仕事、人生を楽しむことができますか?
少なくとも私のかつての上司や同僚で生き生きと仕事をしていた人はいません。
この人のようになりたいという職員もいませんでした。
彼らが楽しそうに話をするのは決まって仕事以外のことです。
仕事よりも家族やプライベートのほうが大切であるというのはあるかもしれません。
しかし、人生のどれだけの時間を仕事に費やすのでしょうか。
専業の投資家などではない限り、人生の大半は仕事の時間です。
その仕事の時間を前向きに捉えられないのはもったいないのではないでしょうか。
公務員は楽な仕事ですか?
答えはNoです。あくまでも私にとっては。
なぜなら、知識や技術を売る仕事ではなく、体力や精神力を売る仕事だからです。
体力や精神力に自信がある人ならいいでしょうが、それにも限界があります。
一般的には知識や技術を磨き、給料を上げていくものですが、公務員は違います。
クレーマー対応などは民間でもよくあることですが、役所が相手にするのは社会的弱者です。
法律によって無視できない人達が悪質なクレーマーとなるのです。
相手をすることにより我慢して我慢して体力や精神をすり減らし続けます。
私のように使命感が皆無の人間にとっては、もうアルバイト感覚ですね。
がんばっても、がんばらなくても、何も変わらないのですから。
いかにストレスなく過ごせるか。小さな楽しみをみつけるか。
大半の職員がそんなものです。
アルバイトと違うのは、時間外労働をすればするほどお金がもらえます。
昨今では時間外に厳しい風潮がありますが、公務員は全然いけます。
公務員の多くは労力に関わらず最小の成果を目指します。
早く帰りたい人は労力を最小にするし、残業代をもらいたい人はなるべく労力を最大にします。
共通して言えるのは最小の成果という点です。
成果を最大にしても誰にも評価されずに自己満足にしかなりませんから。
公務の目的自体は素晴らしいですが、やり方を最適化する仕組みが皆無なのです。
かつてはやる気のあった職員も、がんばっても報われないことに気づき、いつしか無気力になっていきます。
まず、基本的に公務では市場で活かせるスキルはほとんど身につきません。
それは税金という名目で自動的にお金が入るからです。
売上やマーケティングという言葉はありません。
個人的にスキルを伸ばそうとしても資格をとったりする程度です。
営利目的の副業は禁止であり、SNSの発信も制限されているため、実践の場がありません。
公務員は生活に関わるあらゆる部署が存在します。
そのため、異動先でガラリとジャンルが変わることがあります。
道路管理をしていたのに次の日には保育園の入園窓口をしたりなど。
専門職以外は基本的に2〜3年で異動を繰り返します。それは管理職になっても同じです。
異動先では部下や後輩から教えてもらうことも普通です。
少なからず得た知識を次の異動先で活かせることはほとんどありません。
属人的な業務が多いため、引き継ぎにかかる時間がかかります。
その分野の関係住民や業者の方が精通しているケースがよくあります。
極端な話、地方公務員は素人集団です。
偉そうに窓口から一番離れた席に座っている管理職が実は一番業務をわかっていなかったりします。
どこまでいこうともプロフェッショナルにはなれません。
以上、私が公務員を辞めた理由を述べましたが、いかがでしたでしょうか。
確かに公務員は平均以上に福利厚生や待遇はいいです。でも市場価値は低いです。
今の時代は、インターネットを通じて他の人の生活が垣間見える時代です。
隣の芝は青く見えるのも事実ですが、行動できない人が多いのも事実です。
自分の心に正直になって、やらない理由をつくることはもうやめましょう。
私もときにこのような状態に陥ってしまいますが、そのときはこうやって備忘録をみると初心に帰ります。